きょうの一冊(中村元哉)
こんにちは、編集・執筆を担当している中村です。
今回は新たなコンテンツ「きょうの一冊」について書いてみます。自粛期間中は新型コロナウィルスのことばかり考えてしまいがちでしたが、他のことを考えるきっかけとなる本を紹介していこうかと思います。
紹介したい本はこちら。
『男らしさの終焉』グレイソン・ペリー=著|小磯洋光=訳(フィルムアート社)
グレイソン・ペリーというイギリスで権威あるターナー賞受賞経験をもつアーティストが、社会にはびこる「男らしさ」について批判的に描いている本です。異性装者(トランスヴェスタイト)であるペリーだからこその視点から語られる本書は多くの気づきを与えてくれます。
内容もさることながら、挿絵と表紙イラストも私の好きなポイントです。なんといっても表紙の淡いピンクを背景にペリーのイラストが抜群に合っています。ペリーの批判的な語りを補いながらもゆるく、かわいらしいイラストが本書を彩っています。風刺画的な要素もありますが、色味の淡さや線の柔らかさでとげとげしくなく、ずっと眺めていられるイラストです。